監視カメラシステム・入退室管理システムの企画・販売・設計・施工・導入・保守・運用
早稲田大学理工学術院は、2007年に再編された基幹理工学部、創造理工学部、先進理工学部の3つの学部および対応する大学院の研究科が母体となっています。
そして、理工学術院の核たる研究機関が、理工学研究所です。 IPカメラシステムを導入された先進理工学研究科・大木研究室の平井直志先生に導入の目的、効果などについて伺いました。
大木研究室では、先進理工学研究科の大木義路教授の指導の下、学部生・大学院生あわせ約30名で研究を行っています。
主に誘電体に関する研究を行っており、無機物から有機物まで広い範囲の材料に関しての特性変化をいろいろな手法で調べています。
誘電体は、電気的には絶縁体としての性質を示し、光学的には吸収波長が短いという特徴を持っています。前者の特徴からは、機器やケーブルの絶縁材料、コンデンサ材料、電子部品の基板などに。後者の特徴からは、 光ファイバをはじめとする光導波路、短波長域でのレーザやLED等の光源に用いられています。
様々な手法を通じて、特性変化が現れる原因を特定することにより、新たな材料への応用につながっていくものと考えています。
2010年の4月から、わが国では初めての試みである2つの異なる大学間で大学院の共通の専攻を持つ、3つの共同専攻が発足しました。
その1つである共同原子力専攻(早稲田大学と東京都市大学)に大木研究室も参加しています。そこでは原子力発電所で使用されている制御系ケーブルの劣化に関する研究を行っています。
制御ケーブルはLOCA(冷却材喪失事故)のような深刻な事故後においてもその機能を保持しなければならないものだけに、 発電所で使われている環境によってどう劣化するかを研究しています。劣化と電気特性の維持という観点で、材料の特性にあわせて、どの材料を使うのがいいのか、ケーブル絶縁材料の応用に向けての研究も行っています。
--大木研究室では、IPカメラシステムをどの様に活用されていますか。
現在、複数台のIPカメラとIP監視カメラシステム「Milestone XProtect」で、実験室内の状況や、加速器の制御盤などのモニタリングを行っています。
実験室内においては、複数箇所での実験作業における、お互いの安全確保のためと、制御盤自体の監視を行っています。研究室内では、カメラ映像をすべてモニタに表示し、研究室にいる誰もが、実験室の状況を把握できるようにしています。
--IPカメラシステムを導入された理由を教えてください。
私たちの実験室には、加速器が実験室内の対角線上に置かれており、部屋をほぼ二分しています。反対側でどのような実験を行っているかは、実際に反対側に行かなければ確認することはできません。また、実験中はポンプの音などで声もうまく聞き取れないのが実状です。
いつもここで実験を行っている早稲田大学の学部生や院生は、装置の使い勝手を含め、故障時においてもどの様に対処すればいいのかを把握しています。ところが、共同原子力専攻では、普段この実験装置を使用していない東京都市大学の学生たちも、この実験室で演習を行っています。
この共同原子力実習には20名程度の学生が参加していますが、全員で一度に作業や演習はできませんので、何班かに分かれて、先ほどお話しした、加速器の両側で演習を進めることになります。その演習の安全確保のために、何らかのモニタリング装置が必要と考えたのがきっかけです。
--演習の安全確保が第一の目的ですね。
その通りです。使用する電圧も大きく、装置も大きい。常日ごろから安全には気を使いながら、実験などを行ってきましたが、改めてモニタリングができるようにと考えました。また、装置自体がずっと安定していればいいのですが、測定ができなかったり、装置自体の故障ということがないように、制御盤のモニタリングも行いたいと考えました。
当研究室が使用する実験室は、今回IPカメラシステムを導入した部屋のように研究室の隣りだけではなく、別のフロアや別の校舎にもあります。将来的には、こうしたすべての実験室のモニタリングができればいいと考えています。
--IPカメラシステムの導入に際しての選定方法を教えてください。
ポータルサイトで複数の言葉で行った検索結果で、KTシステムズとIP監視カメラシステム「Milestone XProtect」を知りました。
KTシステムズに連絡をさせていただいたところ、非常にレスポンスがよく、とんとんと話が進みました。
すぐに現場を見にきてくださったことと、IPカメラのデモ機も複数台をお持ちいただき、実際にPCに接続してモニタリングを体験することができましたので、導入後のイメージがわきましたね。
最初は日頃から研究室に出入りしている企業に声をかけました。そこからご提案いただいたのは、他企業のシステムを利用するもので、金額的にもかなり高額でした。また、モニタリングを行うのが、私たちではなく他企業のシステム経由になるということもあり、お断りさせていただきました。
実際に他大学の研究室などで計器のモニタリングをWebカメラで行っているのを何回か見たことがありましたので、自分たちでWebカメラを購入して、システムだけどこかで探せば何とかできるのでは、という考えも頭をよぎりましたね(笑)。
ただ、実際には日々の研究や学生たちへの指導がありますので、システムとして構築されているものを導入することにしたのです。
IP監視カメラシステム「Milestone XProtect」を導入した理由は下記の通りです。
将来的に複数カ所のモニタリングを行いたいので、集中監視ができるシステムを最初から導入しておきたかった。
--IP監視カメラシステム「Milestone XProtect」を導入された理由を教えてください。
(1)将来的に複数カ所のモニタリングを行いたいので、集中監視ができるシステムを最初から導入しておきたかった。
(2)操作が簡単にできるところと、ネットワーク経由での閲覧・操作ができること。
(3)問い合せに対するレスポンスの早さと、IPカメラの選定まで含んだトータルな提案など、KTシステムズの対応のよさ。
--導入の効果について教えてください。
実は共同原子力専攻が開始された初年度からの導入を計画していたのですが、初年度は実現できず、2年目からの導入になりました。
演習の開始にモニタリングを間に合わせることができましたし、もちろん事故もなく演習を実施できましたので、当初の目的は果たせたと感じています。
また、卒研等の通常の実験は、2人以上で行うことになっていますが、都合で1人で行うケースが皆無とは言えません。
そうした際、自分がいる実験室の反対側の状況がモニタリングできることで、実験室全体の状況把握ができますので、より安全に配慮したかたちで実験が出来ると思います。加速器の両側で別々な実験を行う場合には、反対側で何を行っているかがわかることで、お互いの安全確保と、次の手順を事前に計画できることで、実験の効率化も図れていると思います。
さらに、実験室内だけでなく、研究室内のモニタにも実験室の様子を映し出していますので、仮に何かあった場合でも、気がついた研究室の人が駆けつけることも可能になりました。
--今後の導入予定、システムの拡張などの予定はありますか。
当初の計画にある、他の実験室のモニタリングができるよう、徐々に整備を進めていきたいと考えています。
また、大学内であり不特定多数の方が出入りする場所ということから、大学の個人情報保護の方針に従い、現在、録画は行っていません。ただ、将来的には、人ではなく、制御盤や計器類のモニタリングに限っては、録画の可能性を探ってみたいと考えています。例えば装置自体が故障したり、不具合が発生した際、制御盤や計器の録画があれば、さかのぼって原因の究明も可能になると考えるからです。
さらにシステムを通じて音声コミュニケーションを取ることも検討したいと考えています。研究室でモニタリングしていて、何かの異常などに気がついたとき、現在は直接実験室に行かなければ指示を出すことができません。現在は研究室と実験室が隣りなのであまり不自由はありませんが、将来、他フロアや別の校舎でのモニタリングが可能になった際には、音声コミュニケーションが必要と考えられます。
これらは個人情報保護の観点も意識しつつ検討を進めていきたいと考えています。
--KTシステムズ、 IP監視カメラシステムに対するご期待などありましたらお聞かせください。
研究室で通常おつきあいある企業さんとは、例えば夕方にメールで問い合せたら、返事は翌日になると思っていました。ところがKTシステムズはその日中に返信がありました。これなら、すぐになんでも相談することができる、と安心したことを覚えています。
今後もシステムの拡張を計画していますので、レスポンスよいご対応、ご提案に期待しています。
早稲田大学様、本日はお忙しい中、
貴重なお話をありがとうございました。